余市町ワイン大使・ひぐち君に聞く!
「余市のワイン」の楽しみ方
ワイングラスを掲げ「ルネッサーンス!」と乾杯の音頭をとるつかみで、一世を風靡したお笑いコンビ「髭男爵」のひぐち君。実は、日本ソムリエ協会ワインエキスパートの資格を持ち、オンラインサロン「ひぐち君の日本ワイン会」も主宰する“ワイン通”です。今年5月には北海道余市町の「ワイン大使」に就任し、余市町産のワインのPR役を担っています。ひぐち君に大使の活動内容や余市のワインの魅力について聞きました。
― 余市町ワイン大使就任から5カ月ほどになりますが、非常に精力的に活動されています。活動内容をご紹介いただけますか。
「5月末からほぼ毎月、ワイン用ブドウ農家の『木村農園』でブドウ栽培の流れを体験させてもらい、そこで学んだことを北海道新聞に連載しています。また、「余市牡蠣」の出荷セレモニーを皮切りに、リーデル銀座店「余市ワインツーリズム ポップアップコーナー」開設式、「日経地方創生フォーラムシンポジウム」など余市町に関するイベントにワイン大使として登壇しました。僕の出身地の福岡で余市町のワインの話をしてください、というオファーもいただきました。しょっちゅう余市町に足を運んでいますので、ほかの地域のワイナリーの方から『いわゆる観光大使って名前だけのことが多いのに、ひぐち君はガチ(本気)だね』なんて言われています(笑)」
― 余市町内だけでなく、東京、札幌、福岡と全国で余市のワインの魅力を伝えているのですね。
「余市町の人が僕を『大使~!』と呼んでくれたり、生産者の方に『うちの畑にはいつ来るの?』と言ってもらったり。東京のワインバーに行っても、余市のワインがあるとついつい頼んでしまいますし。町内外問わず、余市のワインを通じていろいろな出会いがあり、ワインは本当に人の縁をつなぐものだと実感しています。」
余市のワインは「やわらかい酸」と旨味、果実味が特徴
― ひぐち君は、日本中のワイナリーやヴィンヤード(ワイン用ブドウ農家)を訪問していますよね。他産地のワインと比べて、余市のワインの良さはどんなところだと思いますか?
「余市のワインの良さは、「酸」にあると思います。世界的に温暖化が進むなか、「酸」がうまく残るブドウの産地が求められていますので、その点で北海道はアドバンテージが高いです。また、同じ北海道でも岩見沢市などがある空知エリアのワインは「硬質な酸」を感じるのですが、余市のワインはどちらかといえば「やわらかい酸」で、さらに旨味もあります。比較的温暖な気候でブドウがよく熟すため、しっかりした果実味も感じられ、酸味・旨味・果実味のバランスが良いのが特徴です。ワインラバーはもちろん、ワインを飲み慣れていない初心者のエントリーワインとしても余市のワインはおすすめです。」
― 余市町内のワイナリーは、ほぼすべて訪問したと聞きました(※)。印象的なワイナリーはありましたか?
「僕が日本ワインに興味を持つきっかけとなった「ドメーヌ・タカヒコ」や、フランスに長年いらした「平川ワイナリー」、子供たちに自然とふれあってほしいと幼稚園の園長先生が立ち上げた「夢の森ワイナリー」など、どのワイナリーも出自が個性的なのが興味深いです。栽培品種や醸造方法の点でも、フィールドブレンドの「モンガク谷ワイナリー」、ピノグリのみ栽培する「ドメーヌ・モン」のほか、食用のブドウで美味しいワインを造る方々もいますし、本当に多種多様です。ボトルに入っているのはすべて同じ液体の「ワイン」なのですが、その裏には様々な人の考え方や生き方、時間が詰まっているのが面白い! 知れば知るほど、おいしくなるのがワインなのだなあ、と思いました。
(※)余市町内のワイナリーは日進月歩で増え続けており、2022年10月20日現在、16軒ある。
余市のワインには余市の食材をペアリング!
― これから余市のワインを楽しむ人に向けてメッセージをお願いします。
「余市町は、ワインだけでなく、おいしい食べ物がたくさんあります。ブランド牡蠣の余市牡蠣をはじめ、ニシンなど海産物の宝庫ですし、ワインを飲ませて育てるワインポーク、ワインの搾りかすから酵母をおこしたパン、果物はリンゴ、ナシ、モモ、サクランボ、ブドウ……と枚挙に暇がありません。こうした余市の食材は、余市のワインと合わないわけがありません! ぜひ余市の食とのペアリングを試してほしいです。また、先ほどお話したように余市のワインは「酸」が特徴的なので、酸味のあるフルーツと相性が抜群なんです。ワイン初心者もあまり難しく考えずに、余市のスパークリングワインとフルーツを合わせてみてください! 多くの人に余市のワインと余市の食材で、素敵な時間を過ごしてほしいと思います。」
聞き手・文・構成:本間朋子(余市町地域おこし協力隊)
撮影:山崎ゆり
撮影協力:キャメルファームワイナリー