食の旬暦

余市ワイナリー訪問記(7) MARUMEGANE

今年で4年目を迎える「余市町感謝祭」。
2023年も、余市町のワイン産業そして余市町というまちを応援してくださっている寄附者のみなさまへ感謝の気持ちを込めて素晴らしいワインセットをご用意いたします。
「余市町のために」と、ご協力いただく、造り手のみなさんからお話を伺いました。

今年、植樹を始めた MARUMEGANE 大野さん

1年目にして支柱のてっぺんまで元気に伸びているブドウの苗、来年からブドウが収穫できるかなといった感じの伸び方だそう。

「今回11品種植えていて、再来年にもう1種増えて12種類栽培する予定です。自分の思っている仕立てに合う品種かどうかを、今実験的にこの11種類でスタートしています。4年目ぐらいまではこのまま行って、将来的には3、4種類に絞って、上の畑にどんどん広げていく予定です。」

1本の柱に1つの苗が植えられている、1本仕立て

ワインブドウの畑では垣根仕立てが多い中、1本仕立てという珍しい仕立て方を実践中。
「海外の生産者が数軒やっている程度でデータが全然ないんです。自分で調べた情報をベースに、積雪があるエリアでも耐えられる仕組みを考えて実践してる最中です。呼称に関して海外ではストックヴィンヤードと呼ばれていますが、イメージしやすい1本仕立てと呼ぶようにしています。」

なぜ、その仕立て方法を選んだのでしょうか?

「利点は冬の作業がすごく少なくなります、冬はワイヤーを下げ、春はワイヤーを上げるという作業が全くなくなります。また基本的にワイヤーを使わなくていいところです。ワイヤーを使わないため横の移動が可能になり斜面を登ったり降りたりを繰り返す必要がない。

それにワイヤーにつく巻き蔓は病気の元になってしまいます。通常は手でかき集めて燃やしたりハサミで切ったりするのですが、これがかなりの時間を必要とします。この方法だと巻き蔓の処理も早く終わるため非常に合理的です。」


一見、とても楽そうですが、そのぶん夏は大変。

「冬と春が楽な分、夏の新梢管理は他のワイナリーと比べると遥かに大変です。新しく出た全ての枝を手作業で杭に巻きつけていく必要があるため、時間がかかります。

また他のワイナリーと違うところでいうと、株周りに”ピヨッシュ”という作業を行っています。簡単に言うと株周りを鍬を使って除草する作業です。 

これをやることによって、やってない木とやった木では成長の差が如実に現れます。今年は2週間に1度、全ての木をピヨッシュし続けたおかげで、1年目にも関わらず圃場の99%以上の木が1.8mある支柱のテッペンまで成長してくれました。」

二足のわらじ。やりがいや今後の展望について

インポーターの仕事もしながら、ワイン造りに励まれている大野さん。
「ブドウ畑がない時からずっと応援してくださっている、飲食店さんや酒屋さんが見に来てくださって「いい感じだね、頑張ってね」と言われるのがやはり1番嬉しいですね。まだ生産物がないので評価されるものがないのですが、しっかり形にして、昔からお付き合いのあるお客様に、うまく還元できれば良いと考えています。」

近い将来、ワイナリーの隣に保管庫を建てる計画をしているそう。

「若手のワイナリーは金銭面的にも、保管場所にも苦労するので、瓶詰後すぐ出荷する流れが通例です。ですが将来的にはワインの発酵が自然に終わるまでをしっかりサポート、長期熟成できる環境を、自分のワイナリーで整えるために数年以内には保管庫を建設したいと思っています。

あと30回ぐらいワインを造る事ができると思うのですが、その中で1回でも自分が「あ、これこれ!」と思えるワインを、応援し続けてくれているお客様や仲間たちと一緒に共有できる時がいつか来ると良いなと思っています。」 

ワイン生産者のご紹介

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「余市町感謝祭 2023」は2023年11月23日(木祝)より開催します。
情報公開まで今しばらくお待ちください。

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